日本のガラパゴス問題
ガラパゴス問題をガラパゴスに閉じるのはやめよう - My Life in MIT Sloanにコメントしてたんだけど後続のエントリが書かれていたので俺も書いてみます。
後続エントリ。ガラパゴス問題の論点まとめ。 - My Life in MIT Sloan。
俺はリアルなガラパゴスを思い浮かべて、ガラパゴス島と日本島の違いを考えていた。ガラパゴス島に住む生き物達が島の外で暮らしていけないことを苦には思っていない。ガラパゴス島の問題は独自に進化した種の絶滅問題。その問題は世界的認識で世界的に保護されている。一方、日本で考えると日本から外に出られない事を苦に思ってる人・企業は有ると思うけどガラパゴス島の生物のように気にしていない風潮もある。確かに市場を考えると日本国外に出て行かずに成長曲線をたどるのは難しいが、横ばいで利益を上げつづけることは微減していく市場に合わせてコストを減らしていければ不可能ではないように思う。一方、絶滅に対してという面で世界から手厚い保護をされているかというとされていない。そのことによる絶滅の危惧の方がよっぽど深刻だと考えている。海外製の安い高機能な商品によって国内でもシェアを失う例やたち行かなく例は山のようにある。
IT系の現場寄りで働いているが、いわゆる輸入ソフトウェア無しに仕事が進むことはない。これはエンタープライズに限った話ではなくコンシューマーでもPCのOSがWindowsで有ったり、MacOSXで有ればそれは輸入ソフトウェアを使っているのだ。このソフトの輸入。対米で貿易収支上年間2000億の赤字。割合でも10%も無い状況。エンタープライズ系でもサーバ、NW、Web、DB海外製品ばかり。互換性とか信頼性という面で使いたいと思う製品は海外製の物ばかりでその点では「日本の高い技術」という元記事の記述に疑問を感じる。また既製品の問題以外にカスタムソフト(ようは受託)もオフショアの流れが大きくこちらはこちらで昨年度約1000億程度。今後も増加する見込み。IT系はOJTでのスキル習得も重要だがその1000億分、日本の技術者はOJTで技術習得する機会を失っている。OSSの開発者の平均年齢が海外に比べ高いのはその辺が影響しているかもしれない。またその受託開発比率の日米差も見逃せない。同じような製品ソフトにコストをかけているというのは日本という国で見たときには相対的に損失だ。
携帯電話も日本の携帯が優れているのだろうか。守られていたからこそ日本でシェアを獲得したのであって相対的に優れていたのかどうかは疑問が残る。あまり言われていないし奮闘しているが今ガラパゴス化を推進しているのは地デジだと思う。海外での採用例も有るが北米・EUは別方式。TVといえばCATVな北米と同列でないことは確かだしワンセグとか優れている面も多々あるけどグローバル化を考えると疑問が残る。
と、なんか反対意見ばかり書いてきたけど基本的な「英語でないと」という点には賛成。ただ日本語の議論が主で英語の意見も取り入れるという消極的な姿勢ではなく、英語圏での議論が主で日本語の意見も取り入れるというぐらいに割り切らないと意味がないと思う。そこまでしないと多分駄目。rubyもrailsでグローバル化したけどコアの部分が…。
日本もう駄目だ…と思って海外脱出も有りだけど駄目にした一員であるかもしれないのでもうちょっと頑張るのも良いかと。
*ソフトのオフショア・輸出入の金額に関しては下記URLから辿るとたどり着くはず
http://www.kogures.com/hitoshi/webtext/shakai-kokusai-soft/index.html
http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/activity/2010summary_of_ITHR.pdf